レンタルオフィスで法人登記をするメリットと手続きの方法まとめ!
個人事業主や2名~3名で始めるスタートアップだけではなく、フリーランスや副業のためにレンタルオフィスを利用する方がたくさんいらっしゃいます。 なかには、法人設立を視野に入れている方もいるでしょう。法人設立にあたっては登記が必要となりますが、レンタルオフィスでも法人登記をすることが可能です。 本記事では法人登記することのメリット、および登記の進め方について紹介します。
レンタルオフィスでは法人登記が可能!
レンタルオフィスやコワーキングスペースといったシェアオフィスでは、登記ができないと誤解している方がいるかもしれません。
しかし、通常はレンタルオフィスやコワーキングスペースといったレンタルオフィスでも法人登記が可能です。
ただし、注意点もあります
同住所のレンタルオフィスに社名が類似する会社が、すでに存在していると、場合によっては後から登記する会社は登記を断られる可能性があります。
社名が似ている会社が同住所にあることで、郵便物の誤配送や来客の取り違えなどのトラブルが考えられるからです。
早い段階で契約先のレンタルオフィスに確認しておきましょう。
レンタルオフィスで法人登記!法人登記のメリット3つ
レンタルオフィスで法人登記することで得られる社会的メリットを3点ご紹介します。
1. 資金調達がしやすくなる
個人事業主と比較すると、法人の方が社会的信用は上がるため、金融機関からの融資が受けやすくなります。
融資要件は金融機関により異なりますが、一般的に自宅住所での登記よりも、ビジネスでの一等地のほうが融資時における金融機関の心証は良いとされます。
2. 雇用する際に良い人材を集めやすい
レンタルオフィスは一般的な賃貸オフィスよりも好立地が望め、設備や内装についてもワンランク上のオフィスを狙うことも可能です。
立地やオフィス環境の良さは良い人材を集めやすくなり、入社後のモチベーションアップも期待できます。
3. 取引先の幅が広がる
会社によっては法人としか取引しないところも多いです。
法人登記すればそういった会社とも取引の道が開け、顧客へのイメージアップやサービスへの安心感も向上するでしょう。
レンタルオフィスで法人登記するための流れ
法人登記の基本的な進め方を紹介します。
1 会社設立するための準備
レンタルオフィスでの法人登記は、プラン内容や類似社名などに注意する必要がありますが、手続き自体は通常の法人登記と変わりません。
ただ、法人登記では住所も登記事項になるため、住所の重要性がより高まります。
万が一、レンタルオフィスの提供会社によるオフィスが閉鎖してしまうと、新居探しや登記変更の手間が生じます。法人登記をするならば、
レンタルオフィスの経営がしっかりしているかどうかの確認も重要です。
2 印鑑を作る
法人登記では代表者印(法人実印)が必要です。印鑑登録を行い、
会社の重要な契約・書類に押印します。通常は丸形状のものを利用するため「丸印」と呼ぶこともあります。
また、法人化するからには法人口座で利用するための「銀行印」も必要です。
請求書や見積書など平素の業務で利用する「社印」なども作っておきます。社印は丸印と比較して「角印」とも呼ばれます。
3 定款作成
定款とは会社を運営するための目的や規約、会社組織の基本構成などを定めたものです。
作成後は公証役場で認証を受けるため、決まりを守って作成する必要があり、内容は大きく3種類です。
なお、ここでは取締役会を置かない会社を想定して定款の内容を紹介します。
1.絶対的記載事項
定款作成において必ず決めなければならない事項のことです。具体的内容は次のとおりです。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
なお、「目的」とはどんな事業内容を行うのかを記載します。顧客ニーズの変化や事業拡大にも対応できるよう、長期的かつ広域的な視野で作成しましょう。
2.相対的記載事項
相対的記載事項は規約として効力を生じさせるためには、定款に記載しなければならない事項のことで、次のようなものがあります。
- 現物出資の取り決め
- 会社設立における会社の負担金額
- 株式の譲渡制限
- 取締役の任期
3.任意的記載事項
その名のとおり定款に記載するのが任意の事項です。また変更の際は所定の手続きが必要です。
「事業年度」や「株式総会開催の決まり」などを記載することが多いです。
4 資本金の用意
定款が公証役場で認証されれば、速やかに資本金を振り込む必要があるため事前に資本金を用意しておきます。
会社法上では資本金は1円でも問題ありません。しかし1円では、本当に資金が必要になったときに困ってしまいます。
設備投資費や商品購入費など、事業を安定的に継続するために必要な額を用意しましょう。
なお、一定額の資本金を確保しておくのは会社の信用度も向上させます。
5 公証役場での認証
定款が完成したら公証役場で公証を受けます。その際には、定款をはじめ、次のような書類・現金等も準備します。
- 定款 3通
- 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
- 委任状(同行しない発起人がいる場合)
- 発起人(出資者)の実印
- 本人確認証明書
- 定款の謄本作成費 1枚250円
- 認証にかかる手数料 5万円
- 収入印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
公証役場で公証人が内容を確認すると定款が認証され、それによって定款は社会的に有効となります。
6 登録免許税・必要書類等を準備して法務局へ登記申請
法務局への法人登記では、「登録免許税」と以下のような必要書類を用意しなければなりません。
- 登録免許税
「資本金額×0.7%」が基本ですが、最低額は15万円です。
- 必要書類
大きく「登記申請書」と、法人登記の内実を証明する「さまざまな書類」に分けられます。後者の「さまざまな書類」をまとめて「添付書類」と呼びます。
登記申請書については、法務局のHPに書式が用意されていますので、そちらを参考にするといいでしょう。添付書類のうち主だったものは次のとおりです。なお、こちらも取締役会を置かない会社における添付書類の例となります。
- 定款
- 発起人の同意書
- 設立時代表取締役を選定したことを証する書面
- 設立時における取締役・監査役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 設立時における取締役・監査役の本人確認証明書
- 設立時における取締役・監査役の調査報告書およびその附属書類(所定の場合のみ)
- 設立時における取締役・監査役の調査報告書
- 資本金の払い込みを証明する書類
- 資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書(現物出資や資本準備金がある場合のみ)
- 委任状(代理申請を委任した場合のみ)
法人登記の流れを時系列で紹介しましたが、実際には定款の作成や資本金の用意、
添付書類の準備を同時並行で行っていくことになるでしょう。
いつ何が必要なのか把握し、段取りよく法人登記の準備を進めていきましょう。
※法人登記の手続きや必要書類の詳細は、会社形態や定款の内容によって異なります。
実際に法人登記をされる際は、ご自身の事業内容に合わせた手続きを確認するようにしてください。
レンタルオフィスで法人登記すればビジネスの幅が広がる
レンタルオフィスでの法人登記は、ビジネスをやりやすくしてくれる可能性があります。
法人登記のために準備する書類は多いかもしれませんが、それらのハードルを乗り越えるからこそ、社会的な信用が増すとも言えるのです。
興味がある方は本記事を参考にレンタルオフィスの利用を検討してみてください。